会長挨拶

会長 小山靖夫

入院中の患者さんは、従来の日常生活から切り離され、否応無しに病院の日常リズムに合わせた生活を強いられます。身体的な苦痛や治療の必要性から、身体の運動や、自由行動が制限されたりもします。加えて、病気の治療や予後についての心配・不安や、学校・職場・家庭・地域社会などから突然疎外される淋しさなど、精神的な痛みを味わっています。急性期の諸事万端が順調に運んだとして、回復期に入ると、今度は単調な病院リズムのなかで、時間を持て余すことになります。

このような病院生活を送っている患者さんを支える手段としては、テレビや音楽プレーヤなども用意されますが、図書はいろいろな状況下で、患者さんの精神活動を支援するための最も重要な手立てです。

図書による患者の支援活動のルーツを辿ると、古く戦傷を負った兵士への聖書サービスにまで遡るようですが、戦後日本ではボランティアによる「愛の図書室」(名古屋国際婦人クラブ、於名古屋市立大病院、1962年)活動が最初だそうです。その後公共図書館、病院図書室(館)のライブラリアン(司書)達の間に関心が高まり、活動が広がりました。

「全国患者図書サービス連絡会」は、このような流れの中で患者さんの読書活動を支援する運動を拡げ高めるために生まれた、全国的なボランティア組織です。患者さんが求める図書は、マンガなど娯楽性の高いものから、文学、歴史、美術、科学、思想、哲学、宗教などの教養書や専門書まで、多方面に及びますが、インフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンなどと関連し、自身の病気についての正確な医学・医療情報を求める気運が高まっています。当然、医療者側としては、これら患者さんのニーズの応えられるよう、質の高い医療情報を判りやすい形でサービス出来るようにならなくてはなりません。実際に、そのようなサービスを始めている医療機関もあり、インターネットによる無料サービスも行われています。それらの情報へのアクセスを取り持つのも、このホームページの役割と考えています。お気軽にお出でください。ご感想ご意見や新しい情報もお待ちしています。